70歳まで繰り下げると月額で8万4千円プラス

2021年の高年齢者雇用安定法の改正により、定年を70歳に延長する努力義務などにより、年金の受け取りも70歳まで繰り下げる風潮が増えてきている。あたかも、70歳からの受給がお得なような記事もよく見かける。ここで言う年金とは、老齢厚生年金と老齢基礎年金の合計である。将来の見込み額は、日本年金機構のねんきんネットから試算する事ができる。以下は筆者の70歳までの受給額の差異だ。確かに、70歳まで繰り下げると月額で8万4千円も増える。これだけ見ると魅力的に見え、70歳まで繰り下げる事を検討する気にもなる。
受給予定年金見込額(月額)
受給年齢 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 |
繰り下げした場合の差額 | ¥16,835 | ¥33,670 | ¥50,505 | ¥67,340 | ¥84,175 |
ここでのポイントが、65歳で受給した場合との総額の違いだ。筆者の場合、80歳でから受給開始した方が総額で上回る。80歳の時、正しい選択肢だったと思うのだろうか?日本人の平均寿命(男性)の81.64歳を目前にして、プラス月額で8万4千円は価値があるかの判断は難しい。
老後のマネープランの難しさは、予測ができないのに、可視化が必要な事だ。

世の中で話題の老後2,000万円の根拠は年金で補えない生活費積算との差分だ。老後のマネープランで大事な事は生活費(固定費)と収支を見える化する事だ。将来にわたり、収入が右肩上がりに増える事とのない定年後こそ、可視化して現実を知る事だ。退職金も入って気も大きくなり、「まあどうにか」は危険だ。
これからの生活費(固定費)を月額20万円と想定して、先ずは70歳までのマネープランを作成してみた。65歳から年金を受給したとしても、現在から年金受給までどのように暮らしていくか難題である。もちろん、後5年間食いつなぐための収入の確保は優先度が高い。難しい場合、退職金やiDeCoを食い潰す事になる。以下のプランは63歳からiDeCoを受け取るケースにしている。それでも、貯金が500万円以上ないと暮らせない。
老後のマネープランの難しさは、何歳まで生きるか、介護対策も含めて、今後どのような出費があるか予測ができないのに、可視化が必要な事だ。老後の不安対策での一番はお金の事だ。しかし、この難しい判断と実行を考えると、老後はボケてもいられない。
70歳までのマネー・プラン(万円)

