今回は興味深い論文の一部を紹介したい。参照文献「幸せなエイジング」によると、人生が長くなったことで身体的・心理的・社会的衰退を抱えながら生きることの意味、「幸せなエイジング」について人は考えざるを得なくなったという。確かに長い老後、老後資金や健康などネガティブな要素ばかり思い悩んでいても辛い。幸せになる工夫を考え老後を過ごしたいとは誰しもが思うことである。
サクセスフル・エイジングでは病気や障害なく高い認知能力を持ちながら積極的に長寿を生きることが可能であるとされた。遺伝的・生物的な制約を超えて個人のライフスタイルにより豊かな年の取り方 ができる。幸福感についても,年齢が高くなるにつれ,肯定的にな
れるという。
心 理 的 幸 福 感を構成する6 つの次元
「環境のコントロール」,「自立性」は加齢により明らかに上昇し,心理的幸福感の結果では,「人生の目的」や「自己成長」は,身体的健康の良悪にかかわらず,加齢によって減少することも見いだされている
- 自分の強さや弱さを理解し受容する能力を表す「自己受容」
- 人生に意味や方向を与える目標や対象を持つことを表す「人生の目的」
- 個人の才能や潜在能力がやがて実現するという感覚を表す「自己成長」
- 重要な他者と親密で価値のある関係を持つことを表す「他者との肯定的関係」
- 日々の生活における要求を管理できることを表す「環境のコントロール」
- たとえ社会通念に相反しようとも自分の信念に従う力をもつことを表す「自立性」
日本における幸せなエイジング
日本ではどのような年齢であっても肯定的感情の高さや快楽の高さで測られる幸福は高くならないとのこと。日本における幸せなエイジングはアメリカに比べてポジティブな側面との結びつきが弱い。日本における幸せなエイジングはポジティブな状況とネガティブな状況との連続としてとらえられ年齢と共に感情がポジティブに右上がりの増大傾向にならないと予測されている。日本人の今あることに満ち足りた思いを得るといった“幸せなエイジ
ング”は、もうひとつの幸せのあり方を提示するという。
参照文献「幸せなエイジング」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sjpr/55/1/55_137/_pdf/-char/ja
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